【上海時事 2014.3.28】中国上海市当局が27日発表したところによると、ニコンは中国側から「欠陥商品」と指摘されていたデジタル一眼レフカメラ「D600」について、無償交換に応じる解決策を示した。
中国で合法的に販売された製品で、撮影画像に黒い点が写り込むトラブルにより2回以上修理した場合に無償交換に応じる。D600以上の性能を持つ機種に交換する。実質的に後継機種のD610を指すとみられる。
コメント
ニコンの黒点問題は、ニコンの技術的な問題ではない。カメラのイロハがまったく分からない中国の富裕層が、高級一眼レフカメラをレンズ数本セットで買うという市場の割合が増えてきたことが原因だろう。中国の大気の悪さもある。PM2.5や黄砂を考えると、レンズ交換するたびに塵がカメラ内部に降り落ちる。中国の屋外で撮影してこいと言われたら、レンズ交換しないことを前提に機材選択をするだろう。
映り込む黒点は、むかしのカメラで言えばフィルム面に相当するセンサー上の塵(センサー・ダスト)。レンズ交換式カメラでは避けられない「当たり前」のことだ。レンズを交換するときに、カメラ内に入り、静電気でセンサー上に付着する。これはどんな高級機でも避けられない。かのスーパー・高級機ライカのM9を使っていた頃、ものすごく悩まされたことを思い出す。
プロはこれを承知でカメラを丁寧に扱う。
レンズ交換はできるだけ塵がないところで行い、カメラ本体の開口部が下を向くようにして素早く交換する。また、レンズ交換時、使用後、使用前にブロワーでカメラ本体・レンズを清掃し、侵入した塵がセンサーにこびりつく前に撃退する。機材はほこりっぽい場所、湿度が高い場所には保管しないのが常識。
それでもセンサーダストは避けられないため、定期的にメーカーのサービスセンターを訪問し、センサークリーニングをしてもらう。
また、プロは撮影方法にも気を使う。
センサーダストは絞値がF8以下ではほとんど映り込まない。F16以上で晴天の青空を写した場合、センサークリーニング直後でもない限り、かなりの確率で黒点が映り込む。だから、F8以上は絞り込まないことが多い。
今後も中国の富裕層を狙う場合、メーカーのユーザー教育が要になる。中国有名カメラマンを呼んでのセミナー、講演会、フォトコンテストや、中国語でのハウツー動画の普及、無料クリニックの開催などなどやれることは山ほどある。それ自体がマーケティングであり、ブランド力の強化であることに気がついて欲しい。
0 件のコメント:
コメントを投稿