http://www.mirror.co.uk/news/world-news/flight-mh370-missing-aircraft-pilots-3244141
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マ捜査当局はMH370が消息を経ってから間もなく機長自宅周辺に待機していたが、強制捜査ができなかった。墜落の有無、墜落地がまったく分からなかったからだ。
国連のICAOは、航空機が墜落した場合の規則を次のように定めている ー (1)墜落した場所を領土とする国が強制捜査権限を持つ(2)墜落した場所が公海上の場合は、航空機を登録している国が強制捜査権限を持つ。
例えば、2009.6.1エアフランス447便がブラジル沖で墜落した事故では、ブラジル海軍が初動捜索を行い6月7日に機体の残骸を公海上で発見したので、その時点で捜査権限・義務は同機登録国のフランスと確定した。しかし、この事故では、トランスポンダーはもちろん機能しており、墜落までのメカニカル・トラブルなどが刻々とAF社へ送信されていたので、当初から墜落の事実とおおよその位置が分かっていた。そのため、フランス当局は権限確定前から事実上の捜査をはじめていたのだ。
ところが、MH370については、未だに墜落有無すら分かっておらず、航空史上例のない事故となっている。そのため、どの国が捜査権限を持つのかはっきりせず、マ当局は「暫定」で捜査し、関係各国および関係者は「任意」で協力していたにすぎない。
航空機事故の捜査は初動が非常に大事だ。レーダー・データ、整備データ、メーカーのデータ、関係者の証言等々、重要な証拠を収集しなければならないが、任意では限界がある。国家・企業機密に属するもの、自己に不利な証言などは法的強制力がなければ出てこない。マ捜査当局は当初からそのジレンマにさらされていたのだ。パイロットの自宅前に待機するも、裁判所から家宅捜査令状が出ないのだからどうしようもない。
数日前から、米国のNTSBとFAAがマレーシアに入りし当局と協議していたが、ジレンマ打開策としてマ首相の「事故ではなく、犯罪である」という記者会見を主導したと見られる。それを受けて捜査当局が機長自宅を「強制」家宅捜索したということだ。
しかし、実は首相の会見はもっと意味深い。
先ず第一に、搭乗者全員を被疑者とすることで、搭乗者の国籍によってそれぞれの国に強制捜査権と義務を振ったことになる。例によって中国はわーわー騒ぐだろうが、搭乗者の6割を占める中国人「被害者」については「被疑者」として中国当局が素性を洗えということだ。やらなければ米国のCIAに頼む…というプレッシャー付。
次に、首相が同機の予想ルートをタイ国境からカザフスタン・トルクメニスタン方向、もしくは、インドネシアから南インド洋と発表した点に注目したい。これは暗に、ルート上のどこかの国に墜落していたら、その国がICAO規定にもとづいて捜査権限を持ち義務を負うことになると忠告したとみていいだろう。
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