▼商船三井「差し押さえ長引くと顧客に迷惑」 午後にも上海出港へ中国では戦時強制労働の被害者が日本企業に損害賠償を求める集団訴訟が増加しており、裁判所の判断を注視する必要があります。日本企業はすでにカントリーリスクを嫌気して対中投資が激減しつつあり、生産拠点を他のアジア諸国へ移す動きが見られます。
産経新聞 4月24日(木)12時34分配信
▼日中関係冷却化で抑制やめた中国 「強制連行」で日本企業を提訴こうした中、中国の裁判所が商船三井船舶を差し押さえました。
2014.2.26 11:29 (1/2ページ)[日中関係]
私は当初、これが強制労働集団訴訟などと同様に、戦争損害の賠償を求める動きと理解しました。 そしてこれが、中国が賠償金請求権を放棄した日中共同声明(1972年)に反するものと考えました。管官房長官も、そのような趣旨で「遺憾の意」を表明しています。
▼官房長官、中国の商船三井船舶の差し押さえ「極めて遺憾」
2014/4/21 11:50
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL210IX_R20C14A4000000/
しかし、報道を見ていくと、商船三井問題は戦後賠償請求とは別物で、未払いになっていた船舶の借受料金を請求する訴訟で、商船三井が支払いを命じた裁判所の確定判決に応じていなかったための差し押さえであることがわかりました。
中国当局も、戦争賠償請求とは無関係の民事訴訟であり、日中共同性声明は尊重していると述べています。
▼中国「戦争賠償とは無関係」 商船三井の船差し押さえ
http://www.asahi.com/articles/ASG4P722NG4PUHBI03S.html
もちろん、エスカレートする一方の反日運動の一環とは思いますが、法律的には確かに別物なのです。
原告と商船三井の間の契約内容がわかりませんし、裁判所の事実認定もわかりませんので、判決の正否を問う立場にはありませんが、1930年初等の未払についての請求権は時効にかかるのではないかという疑問があります。しかし、これも、中国の民法が時効をどう規定しているか、時効の中断があったのかなど、法解釈・事実認定の問題ですから、我々はとやかく言えないと思います。
しかし、公平に見ると、商船三井側に否があったのではないかという疑問があります。それは、商船三井が裁判所に40億円の供託金を差し入れたことに関連し、「会計的には処理済み」と発表している点です。
会計的には「引当金」と言います。
敗訴の確定判決など、将来支払うことが濃厚な支出は、その事実が生じた会計年度の貸借対照表で「引当金」として損失をあらかじめ計上しなければいけません。
商船三井はその「引当金」処理を前年度中にしていたということです。いつそれを認識したかは定かではありませんが、支払命令の判決が確定したときと考えるのが正しい会計です。そうすると、商船三井は「支払義務」を事前に認識していたことになります。そして、「差し押さえられてから支払っても遅くはない」という判断をしたことになります。
事実関係がわかりませんが、冷静に法律的考察をするならば、今回の件は中国を一辺倒に非難するのはいかがなものかと思います。
「理性的な日本人」としては冷静な目で見る必要があると思います。
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